Find The Way
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（必ず戻ってくると言ったのに……）
キラがカガリとアスランと共にエターナルに無事帰還したと連絡があり、負傷者の手当や艦の応急修理も済み、艦内に漸く泡沫の静けさが戻ったころ、アークエンジェル艦長マリュー＝ラミアスは、緊張の糸が切れたかのように倒れた。 気が付いたのは、医務室。 どうやら軍医は艦内の至る所に寝かせられている負傷者の手当に奔走していて、不在のようだ。 （良かった……） マリューはそう思った。一人になりたかったのだ。 「嘘吐き……」 涙が澄んだ瞳から零れ落ちる。 「嘘吐き……嘘吐き、嘘吐き」 必ず帰って来るって言ったのに…… マリューは、微かに嗚咽を漏らして泣いている。 その時…… 「勝手に人を殺すなよ」 忘れようもない頼もしい声が、隣のベッドから聞こえた。 「ムウ！？」 咄嗟にベッドから降りて隣のベッドのカーテンを開くと、そこには包帯だらけながらも見まごうことのない愛しい男が、横たわって不適に微笑んでいる。 「ムウ……本当にムウなのね！？」 「そうだよ」 言ったじゃないか。 「俺は不可能を可能にする男だよ……とね」 片目に包帯が巻かれているため、いつもならウインクのひとつもしそうな気配だが、今日はそれどころではないようだ。 「傷、痛む？」 包帯はムウの全身を覆っている。 「いや、今は鎮痛剤が効いているから大丈夫だ。だが……」 もしかすると片目を失明するかもしれない…… ムウは、いつになく真面目な声音でそう言った。 「私が貴方の目になるわ」 マリューが包帯の巻かれた片目にそっと口付ける。 「マリュー」 「なあに？」 「地球に帰ったら……」 「うん？」 「どこか静かな所で静養しようか」 停戦はした。これから先は我々軍人には関係なく、政治的やりとりになるだろう。 それに、実際ムウには静養が必要だ。 「そうね、それは良いアイデアね」 マリューは涙を湛えたままの瞳でムウを見やると、彼の端正な口元に可憐な口唇を寄せ、そっと口付けたのだった。 Fin ＊かいせつ＊ ついに填り込んで、同人世界にまで入り込んでしまいった蒼乃の、初SEED作品です(^^ゞ 2004/04/19 かくてる♪ていすと 蒼乃拝 |