胸の振子



氷ついた頬を 口唇でとかす
胸に残る棘は 抜いて あげるわ
生きることはきっと
燃えて尽きることよ
今はここであなた 羽を休めて
 
神が咎めたって あなたを守るわ
夢に傷付いたら 抱いて眠るわ
千の剣だって 私は受けるから
ずっと傍で私 夢を紡ぐわ

胸の振り子=薬師丸ひろ子
ISRC=JPTO08736470 作品コード=085-3036-0 
【日本音楽著作権協会】


***

「君は、ロイエンタールが傍にいる時とそうでない時では、随分と雰囲気が違うんだね」
 そう言ったのは、ロイエンタールの親友であるミッターマイヤーである。
「ロイエンタールがいないと、とても寂しそうに見える」
 だが、ロイエンタールと一緒にいる時は、この上もなく優しくて愛らしく微笑む。そう、周囲のもの全てを幸せにさせるくらいの輝きと柔らかさで……
 そして、服装もロイエンタール好みのフェミニンな装いをしている。
「あら、訂正して欲しいわね」
 お茶を入れながらヘネラリーフェが悪戯っぽく微笑む。
「私は、自分一人が不幸ぶってる人間は嫌いよ」
 だが、実の所、ロイエンタールもヘネラリーフェも、ほんの少し前までそういう類の人間だった。
 ロイエンタールは親に愛されて育たなかった為に、人との繋がりと温もりを欲しながらもガラスの中に閉じこもっていた。
 ヘネラリーフェも、恋人ダグラスの死以来、他人を拒絶し、そしてロイエンタールを憎むことを生きる糧にしていた。
「でも、私の周りでもロイエンタールの周りでも愛しい人達が沢山死んで」
 お互い傷ついて傷付け合って……
「哀しくて哀しくて。でもそれでも生きてこられたのはロイエンタールがいたから」
 ヘネラリーフェのロイエンタールへの憎しみがいつしか愛に変わって……
「あの時から私はロイエンタールの為ならなんでもする女になったわ」
 もっとも、随分遠回りしたおかげで、心身共にボロボロになりはしたが。
「でもね、押しつけるだけの愛情なんて誰もいらない。そう気付いたから」
 ロイエンタールは、まだ怯えた幼子のような部分を残している。ヘネラリーフェにしても、心の傷が癒えたわけではない。でも、ロイエンタールは更にそうだと思える。
「だから、私は外で何があってもロイエンタールの為、優しくフワフワした物に囲まれ、いつも幸せに笑っていようと決意したの」
 ロイエンタールが帰ってきた来た時、彼が幸せでいられる様に。
「私には、そんな事ぐらいしか出来ないし……」
 でも、私にしか出来ないこととも思っている。
「要するに、欲しがるだけじゃなく、愛する人に何が出来るかってことじゃない?」
 だから、一人でいる時に悲劇の主人公のように悲観にくれているなんて思われたくない。私は今を精一杯生きている。ロイエンタールの為に、そしてロイエンタールと共に。
「そうか……」
 でも、それって少し哀しいよね。少し羨ましくて、少し切なくて……

 ミッターマイヤーは思った。

Fin

*かいせつ*

一体何が書きたいのかわからない作品です(^^;;
なんとなく、書き綴ったというか、優しくて切ないリーフェの気持ちを書きたかったと言うか……それだけなんです(爆)
でも、いまいち纏まりに欠けるなぁ(溜息)

2004/01/21 かくてる♪ていすと 蒼乃拝