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「子供の頃のお前に逢いたかったな」
情事の後の淫らに濡れた蒼い薄闇の空間で、ロイエンタールがポツリと呟いた。
小さな、そう、まだ哀しみも苦しみも知らない頃のヘネラリーフェに逢ってみたい……無論、ダグラス＝ビュコックに出逢う前のだ。
ダグラスでさえ知らないヘネラリーフェに逢ってみたかった。
死者と張り合ってどうなるものでもないとわかっていても、願わずにはいられない……
「リーフェ……」
至近からロイエンタールの声が聞こえる。急速に意識が覚醒し、ヘネラリーフェは目を開いた。
「？」
ボンヤリとした視界にロイエンタールの顔が映る。が、どこか違和感を覚えた。いつもと何かが違うのだ。
頬に感じるロイエンタールの手の感触、それが普段より大きく思える。何気なく首を巡らすと、なんだかベッドが広くなったような感覚に襲われた。
もう一度ロイエンタールの方に向き直る。今度は彼の肩越しに見える天井が異様に高く思われた。
「おい……」
ロイエンタールの左右色違いの双眸が困惑の色を湛えて揺れるのを訝しげに見つめながら、ヘネラリーフェがゆっくりと身を起こし辺りを見渡すと、ベッドの正面に置かれた姿見に映る自分の姿が目に入った。
「ど〜〜いうことだ、これはっ！？」
ハイネセンポリスにあるビュコック邸の居間に、アッテンボローの驚愕の叫び声が響いた。
「どうって言われても……ねぇ？」
ヘネラリーフェが困ったようにロイエンタールを見上げる。
「朝起きたらこうなっていた」
端的にロイエンタールが応じる。
「テメエが何かしたんだろっ！！」
「アッテンボロー提督、一応相手は帝国元帥なんだから口を慎め」
渋面でシェーンコップがアッテンボローを諫め、そのまま視線をヘネラリーフェへと注いだ。
注目の的の本人はと言えば、ソファに座って足をブラブラさせながらカップを口元に運ぼうとしている。足をブラブラさせているのは、届かないのだ……床に足が。
おまけに着ている物も異様にブカブカで……どうやらロイエンタールのシャツを着ているようなのだが、ボタンを締めていても胸元辺りまではだけているし、腕など袖口を何重にも巻いてようやく指が出るほどで、裾にいたっては下手すればワンピースかと思うほどで足元に引きずる有様だ。
「なんだって、こんな姿に……」
見下ろす男達の視線の先に、美少女がいる。腰まである柔らかな琥珀色の髪、白皙の肌、深く澄んだ青緑色の双眸、スッキリ通った鼻梁、優雅な弧を描く柳眉、可憐な薄桃色の口唇。どう見たってヘネラリーフェだ。だが、見てくれが少々、いや、大いに若い……というか幼い。
「幾つくらいだ？」
「多分、４歳くらいだと……」
「なんだって成人した女が、いきなり４歳児になるんだぁ！？」
アッテンボローが髪を掻きむしりながら叫び、シェーンコップは大きな溜息を吐いた。
朝起きたらいきなり４歳児になっていましただなんて、そりゃあ信じられないだろうし、パニックを起こすだろう。だが、目の前に現実があるのだから信じないわけにはいかない。
「とにかく、ビュコック夫妻が旅行中で良かったな」
シェーンコップが再び溜息を付きながらそう言った。
久々に帝国から娘が戻ってきている時にと随分悩んだようだが、ヘネラリーフェが是非にと両親を旅行に送り出したのだ。
これまで、長引いた戦争のおかげで夫婦水入らずでのんびり旅行など夢のまた夢な生活だったのだからとせめてもの親孝行のつもりだったのが、まさかこういう展開になろうとは……
「別に居ても困らないけど」
澄んだ鈴の音のようなか細い声で言葉を返す。声まで変わってしまい、なんだか妙な感じだ。
「お前、不真面目だぞ」
アッテンボローが呆れたようにヘネラリーフェを見つめた。
「だって、別にこの姿でも特に困ったことがあるわけじゃないし。まあ、ご飯は作ってあげられないけど、今回に限っては仕事で帰省してるわけじゃないしねぇ」
そう言いながらカップに入ったコーヒーに口をつけた途端、ヘネラリーフェが眉を顰める。
「どうした？」
ロイエンタールの問いに返された言葉に一同は力が抜けた。
「熱〜〜〜い！ 苦〜〜〜い！」
味覚までお子ちゃまに変わったんか！？
数分後、ヘネラリーフェはやはりソファの上で足をブラブラさせながら、今度はミルクをふうふうと吹きながら飲んでいたが、見てくれも仕草もどう見たって４歳児のそれである。
見守る男達の眼差しが優しくなる。そりゃそうだろう。なんてったって、元から美貌で知られるヘネラリーフェなのだ。４歳児とは言え、いや、だからこそ、その顔立ちは際だつ。要するに……『超』可愛いのだ。
アッテンボローなどは１０歳の頃からヘネラリーフェは知っているが、さすがに幼少時の姿は知らない上に、惚れた弱みもあり、パニくりながらも見とれている。
（うっ……可愛い……）
「で？ 本当に心当たりはないのか？」
口元を緩ませているアッテンボローを後目にシェーンコップは冷静な声でロイエンタールに訊いた。
「ああ……強いて言えば、昨夜子供の頃のリーフェに逢ってみたいと思ったくらいだ」
それは原因にならないのか？ シェーンコップは思った。アホらしいが、ロイエンタールの願いが叶ったとしか思えない今の状況である。
「あんた冷静だな」
さすがに、アッテンボローもいつまでもヘネラリーフェの姿にデレ〜〜としている訳にもいかず、攻撃をロイエンタールに向ける。
「そうでもない、これでも十分困っている」
表情を崩さずにこう答えると、ロイエンタールは小さなヘネラリーフェをヒョイと自らの膝の上に抱き上げた。ヘネラリーフェが無邪気な仕草でロイエンタールを見上げる。
「……………」
どう見ても親子にしか見えんぞ……アッテンボロー＆シェーンコップ、内心の声。
「言っておくが、この状態のリーフェに手を出すのは犯罪だぞ」
シェーンコップがにやけながら言った言葉に強烈な反応を示したのはアッテンボローだった。
「なに〜〜！！ 貴様、この状態のリーフェに手を出すつもりなのか！？」
胸ぐらを締め上げようと手を出しかけて、だがロイエンタールの膝の上にヘネラリーフェがいることでその腕を引いた。が、厳しい眼差しでロイエンタールの金銀妖瞳を睨めつける。
しかし、アッテンボローくん……何か論点がずれているような気がするのは作者だけ？
「アホ、いくら俺でも子供を手込めにするか」
ご丁寧にもロイエンタールは正直にこう言った。
「相手があんたでなければその言葉も信じられるがな」
莫迦丸出し……シェーンコップが二人のやり取りに心の中で毒突く。
「こうしていてもしょうがないし、そろそろ行くか」
さすがにアッテンボローとのやり取りがあまりに低レベルなものだと思ったらしいロイエンタールが、ヘネラリーフェを抱いたまま立ち上がった。
「どこに行くつもりだぁ！？」
話をはぐらかされたような感じになり、アッテンボローが益々熱くなったが、ロイエンタールの方は何処行く風と言わんばかりに涼しい顔である。
「どこって、俺のホテルだ」
作者もすっかり忘れてましたが、ロイエンタールは別に遊びでハイネセンに来ているわけじゃないのです。ちゃんと、お仕事として来ているのです。ってことで、公人としてちゃんとホテルもとってあったりするのだ。
ただ、彼の場合ビュコック家という定宿があるので本当にただ部屋をキープしているだけの状態なのだが。
いくらヘネラリーフェが成人した女性でも見てくれは４歳児。ここにいては困る事も多いだろう。食事にも困るし、ホテルの方が何かと生活しやすいだろうと、ロイエンタールは考えたらしい。
問題は、ホテルにはやはりロイエンタール同様にハイネセン入りしているその他の僚友達もいるということだ。妙な噂が立ちかねない。が、本人にしてみれば後ろめたいことをしている訳ではないし、彼は噂など意に介さない人間なので、ホテル行きはあっさり決められた。
「洋服がいるな」
歩きながらロイエンタールは腕の中の小さなヘネラリーフェに微笑みかけた。小さな、だが暖かい掌がロイエンタールのシャツをキュッと掴み、同時に愛らしい笑みが返ってくる。
小さな頃のヘネラリーフェに会いたい……確かにそう願った。それがまさか叶えられるとは思いもしなかった。そんなことは自然の摂理から言っても到底無理だと……
どうしたら元に戻れるのか？ そんな心配がない訳ではない。が、今はこの幸運を思う存分味わいたいというのがロイエンタールの正直な気持ちだった。
「ホテルに着いたら外商を呼ぼう」
さすがロイエンタール……既に同盟領でもお帳場客と化しているらしい。
「お洋服買ってくれるの？ だったら私、シャーリーとピンクハウスとメゾピアノが欲しい」
「なんだ、それは？」
「子供服のブランド」
ちゃっかりねだるところがナイスなリーフェである。
ホテル到着後、ロイヤルスイートルームの超豪華な居間中に所狭しと広げられたヒラヒラお洋服の数々にロイエンタールが声を失ったことは言うまでもない。
「ねえねえ、似合う？」
身体を揺すられる感覚にロイエンタールはハッと我に返った。視線を落とすと、試着したヘネラリーフェがソファに腰掛けるロイエンタールの膝を揺り動かしている。
（まるっきり子供だな）
思わず苦笑が漏れた。
いくら見てくれは４歳児でも精神は大人のままなのだ。が、どうも躰に精神が引きずられでもしているのか、今日のヘネラリーフェはヤケに子供っぽい。
が、下から上に向けてヘネラリーフェの躰に視線を這わせたロイエンタールはそこで固まった。
（うっ……か、可愛い……）
ヒラヒラレースをこれでもか！！ というほどあしらったワンピース姿のヘネラリーフェがそこにいる。
まるでカタログの中からでも抜け出してきたような出で立ちだが、それがもの凄く似合っていた。
「ねえ、似合う？」
ヘネラリーフェが意識しているのかまったくしていないのか、とにかく超無邪気な表情でロイエンタールの顔を覗き込む。
「ああ、よく似合う」
一瞬言葉を失いかけた後、ロイエンタールは端的にそう答えた。
その言葉に気を良くしたのか、ヘネラリーフェは弾むような足取りで再び洋服の山へと近付く。
「じゃあ、これと……」
「全部貰おう」
ヘネラリーフェの声をロイエンタールの声が遮った。
「は？ 全部ってこれ全部？」
思わずヘネラリーフェが聞き返したが、ロイエンタールはそれには答えずデパートの外商部員に再度同じ言葉を放った。
「ありがとうございます」
外商部の人間にしてみれば万々歳なことである。しかぁし、ヘネラリーフェはロイエンタールの悪い癖が出たと内心溜息を吐いた。
帝国元帥の年収がどれ程なのかは知らないが、かなりの高給取りであることは国家は違えど軍人であるヘネラリーフェにはわかる。それにプラス、ロイエンタールには親から引き継いだ資産がある。
オーディンにある本宅での生活もかなり贅沢なものであったが、フェザーンに遷都後も豪奢な屋敷をいとも簡単に手に入れ、生活水準はオーディンでのそれ以上かもしれない。つまり、ロイエンタールは金に糸目を付けるということがないのだ。
しかも、相手がヘネラリーフェとくれば、それは益々過剰になる。それが今日のお洋服購入作戦にも顕著に現れたのだ。
「躰、ひとつしかないわよ」
（これだけの数の洋服をどうやったらすべて着尽くせるのやら……）
ちなみに、外商部員が運んできたのは洋服だけではない。今のヘネラリーフェが生活するのに必要なものすべてが運び込まれているのだ。
服だけでも数十着、他にも靴にリボンに帽子にアクセサリーetc、とにかくここにある物で子供用品の店が一軒開店できる程の品数である。
「ファッションショーができるわね」
諦めと嫌味混じりのヘネラリーフェの言葉に、だがロイエンタールは苦笑しただけで、結局無謀な買い物は彼の思い通りな展開で終わりを告げた。
その日の夕食はルームサービスで済ませられた。ロイエンタールは折角新調した服をヘネラリーフェに着せてレストランに連れ出す気でいたのだが、ヘネラリーフェがそれを固辞したのだ。
いくらなんても目立ちすぎるだろう。なにせ帝国軍の上層部が同宿しているホテルなのだ。
大人のヘネラリーフェが同行している時でさえ注目の的であり、あれやこれや（無論悪意を込めたものもある）囁かれるというのに、４歳児になったヘネラリーフェをロイエンタールが堂々と連れ歩けばどうなるか想像しただけでも恐くなる。
いや、そもそもこんな不可解な出来事を信じてくれるとも思えないし、あまり他人に吹聴するべきことでもないだろう。
可愛らしいヘネラリーフェを見せびらかしたいという些か子供っぽいことを考えたロイエンタールも、彼女を見せ物にする気はサラサラなく、結局二人は部屋でゆっくりとディナーを楽しんだ。
食事が終わると、ロイエンタールはヘネラリーフェの躰を抱き上げ後ろから抱き締めるようにしてソファでくつろいでいた。小さな躰はロイエンタールの腕の中にスッポリとおさまってしまう。
腕の中の温もりを全身に感じる至福の刻にロイエンタールは充足感を味わっていたが、抱き締めた躰の温もりと重みが増したことに気付き、彼はヘネラリーフェの顔を覗き込んだ。
「おい……まだ８時だぞ……」
唖然とした呟きが漏れ出る。
ロイエンタールの腕の中のヘネラリーフェは、幸せそうな顔でスヤスヤと寝息をたてていたのだ。
躰がお子ちゃまだと、やはり生活パターンもお子ちゃま向きになるものなのか……ヘネラリーフェの甘い吐息を頬に感じながら、ロイエンタールの口元からつい深々とした溜息が吐かれた。
いや、別に起きていたからといって何かするわけじゃあないのだが……でも、なんだか残念に思えてしまうロイエンタール、３４歳であった。
翌日、ロイエンタールは同盟側との会議で部屋を留守にしなければならなかったが、出掛ける前の彼は見る者が見れば傑作と言えるかもしれない。
とにかく、ヘネラリーフェに対して口を酸っぱくして何事かを言い含めよとしていたのだ。
「いいか、高いところにある物を無理に取ろうとするんじゃないぞ。それから、部屋の外に出るときは階段と知らない人間に気を付けること。それから……」
延々と言いまくるロイエンタールに向かってヘネラリーフェは一言言い放った。
「ロイエンタールって、ファーターみたい」
黙らせることに見事に成功した必殺の一言である。憮然とした表情をすると、ロイエンタールは疲れた風情で出掛けていった。
「言っておくが、今のお前は４歳児なんだからな！！」
それでも釘を差すことを忘れなかったところは流石である。結構良いパパになるかもしれない。
「はいはい、行ってらっしゃい、ファーター」
悪ノリするところがヤンファミリーなヘネラリーフェらしい。
彼女はクスクスと笑いながらロイエンタールを送り出したが、その日は結局外に出ることもなく大人しく過ごしたところをみると、彼女なりに事の重大性をちゃんと考えていたのかもしれない。これで結構素直なところもあるのだ。
夕刻、ロイエンタールはミッターマイヤーを伴って帰ってきた。と書くと語弊がある。別にロイエンタールが誘った訳ではないのだ。
「それにしても、卿がホテルに戻ってくるなんて珍しいな。フロイラインも一緒なのか？」
スイートルームのドアが開く気配を感じるのと同時に、部屋の中のヘネラリーフェの耳にこんな言葉が流れ込んだ。
「私がどうかしました？」
ロイエンタールの返答より早く、ミッターマイヤーの耳に聞いたこともない涼やかなか細い声が聞こえた。
「！？」
ロイエンタールは一瞬マズイという表情をしながらミッターマイヤーから視線を逸らした。当のミッターマイヤーは……
「可愛らしいお嬢さんだな。リーフェに似ている気もするが、親戚か何かか？」
元々帝国貴族のヘネラリーフェの親戚がどうしてハイネセンにいるんだ？ という疑問など欠片も抱いていないようなミッターマイヤーのボケた問い掛けにヘネラリーフェはクスリと笑うと答えた。
「私がリーフェですけど」
至極真面目に言ったのに、相手はそうは思っていないらしい。
ミッターマイヤーは膝を付いて視線の高さを小さなヘネラリーフェの青緑色のそれに合わせると、マジマジと彼女の顔を見やり、そしてニッコリと笑って言葉を紡いだ。
「名前まで一緒なのか。でも小さなフロイライン、私の言っているのは大人の女性のことで……」
「だから、私がそのリーフェですってば。疾風ウォルフの異名を持つウォルフガング＝ミッターマイヤー元帥閣下」
さすがのミッターマイヤーも難しい顔で黙り込んだ。
あまりに言い回しが大人びていること、そして軍のことを熟知しているような言葉に、相手が見てくれ通りの４歳児ではないと感じ取ったのだ。
「本当にリーフェなのか？」
「だから、何度も言っているじゃないですか。なんだったら、貴方の帝国軍における戦歴でも暗唱して見せましょうか？ それとも私自身のことを言う方が手っ取り早く証拠代わりになって良いかしら？」
青緑色の双眸が鋭い光を放ち、ミッターマイヤーは絶句した。
目の前の少女がヘネラリーフェだということは、あまり認めたくないものの理解するしかないようだ。が……
「いったいどういうことなんだ？」
「俺が聞きたい」
この姿を願ったのは紛れもなくロイエンタールなのだが……
「卿が願ったらこの姿になったと言うのか？」
「まあ、そういうことだ」
それにしたって、どういう理論でこうなっているのやら……
「元に戻る方法は？」
「わからん」
マジマジとヘネラリーフェを見つめるミッターマイヤーに彼女はニッコリと微笑んだ。
「別に私は困ってないんで」
（そういう問題か？）
あっけらかんと言うヘネラリーフェの言葉に、ミッタマイヤーはガックリと肩を落とした。
ロイエンタールもロイエンタールなら、ヘネラリーフェもヘネラリーフェだ。事の重大性がわかっているのか？ そもそもこんな非現実的なことを易々と受け入れる神経がわからない。
ミッターマイヤーは深々と溜息をついた。
とは言うものの、実は子供を抱いてみたくてたまらなかったりするミッターマイヤー、３３歳である。
なんだかんだ言いながらも、小さなヘネラリーフェをちゃっかり抱かせてもらってご機嫌だったということは、ロイエンタールとヘネラリーフェのみぞ知る、である。
「今日の今日まで俺はお前がロリコンだったとは知らなかったぞ」
立ち去り際、ミッターマイヤーはこんな捨て台詞を残していった。
「俺のどこがロリコンなんだ？」
状況を見れば違うとは言えないと思うが……まあ由としよう。
それから約二週間は何事もなく、平穏な日々が続いた。
もっとも、それはロイエンタールとヘネラリーフェに限って言えることであり、周りの者はいったいいつになったら元に戻るのかとヤキモキしていたに違いない。 が、実のところ傍目から見るほど二人は平穏無事に生活しているわけではなかった。
暮らしてみてわかったのだが、小さいということは何かと生活に支障が出るものなのである。それは起床直後から既に始まっていた。
まず、洗面台に手が届かない。仕方がないので椅子を運んでそれに乗って洗顔を済ませる。
食事もテーブルが高すぎてうまく食べられない。考えた末、椅子にソファのクッションを何個か乗せて高さを調節した。
時にはロイエンタールが膝の上に乗せて……なんていうほのぼのとした光景も見られたようだ。
シャワーにも手が届かないし、手が小さくなった為に洗髪も思うようにできない。これもロイエンタールが……以下省略。
結局蓋を開けてみれば、ヘネラリーフェの生活全般にロイエンタールの手助けが必要だということになっていた。
「ロイエンタール、リボン結んで〜〜」
こんなお願いも勿論あった。
「ファスナー上げて〜〜」
なんてのも……（笑）
ひょっとすると、ヘネラリーフェよりもロイエンタールの方がより平穏無事とは言い難い状況なのかもしれない。
「すっかり健全な生活パターンだな」
キングサイズのベッドの上で、スヤスヤと安らかな寝息をたてるヘネラリーフェに腕枕をしてやりながらロイエンタールはヤレヤレとでも言いたげに呟いた。
やはりこれが彼にとっては最も苦悩すべきことなのかもしれない。
お子ちゃまリーフェは夕食後すぐにうつらうつらとしはじめ、そのままお眠の園に旅立ってしまうのだ。
いくら漁色で慣らしたロイエンタールでも、さすがに４歳児に手を出そうという鬼畜行為には走ろうとは思わないから、別に眠ってしまっても構わないと言えば構わないのだが、しかしやはり最愛の女性が手元にいるというのに、なんだかつれないんじゃないか？ というのが正直なところなのだろう。（いつも傍にいるが、いつもと姿が違うのだ。つまり趣向が違うというか……爆）
それでも抱き締めた時に仄かに薫る甘い香りと温もりに、そんな寂しさなど消し飛んでしまうのだから現金なものだ。
隣にある小さな温もりが、こんなに幸福感を与えてくれるとは……もっともずっとこのままでも困るのだが。やはり男ロイエンタール、女性は観賞用より実用的な方が好みなのだろうか……
「また良からぬことを考えているでしょう？」
不意に話し掛けられロイエンタールはドキリとした。
「起きていたのか？」
「目が覚めちゃった」
お水を飲んでくると言って、ヘネラリーフェはベッドを降りた。
彼女が横たわっていたところに触れると仄かに暖かい。ロイエンタールの口元になんとも言えない笑みが浮かんだが、それは闇が巧みに隠し通した。
ほどなくしてヘネラリーフェは寝室に戻り、再びロイエンタールの横に滑り込んだ。
「寒くないか？」
「うん、ロイエンタールと一緒だとあったかぁ〜い」
ヘネラリーフェはロイエンタールに擦り寄った。
「なあ、お前の身体の疵痕は、どうなっている？」
ふとロイエンタールがそんなことを言い出した。
躰が４歳の頃のものに戻ったのなら、ひょっとしたらヘネラリーフェの躰に残る無数の疵痕も消えているのではないかと考えたのだ。だが……
「ちゃんとあるわよ」
躰が過去に戻ったわけではなく単に小さくなっただけなのだから、戦闘その他で負った疵痕も消えずに残っているのだ。
「そうか……やはり俺の罪は一生消えぬか」
悔恨に打ちひしがれたような声で呟くロイエンタールの頭をヘネラリーフェは細い指で軽くこづいた。
「何、らしくないこと言ってるの。別に私は疵痕なんて気にしてないわ。それに軍人なんてやってれば怪我なんて日常茶飯事。現に貴方だってその筈よ。それに……」
それに、あの時戦わなければ出逢えなかった……
「ロイエンタール以外にこの疵痕を見せる人間もいないし、そんなに気にする必要なんてないわよ」
と、さりげなく強烈なことを言ってのけた。
右腕の傷以外は、傷のある場所を単純に考えても、普通に生活していれば他人の目に触れることはない。
つまり、脱がなきゃ見えないということで……可愛い顔をしてとんでもないことを言うものである。
「そうか……そうだな」
短く言った言葉の中に、だがどこかホッとしたような、それでいて嬉しそうな響きが込められていた。
それから暫くの間、二人を沈黙が包み込んだ。
「ねえ、どうして小さな私に逢いたいだなんて思ったりしたの？」
何分か何十分か後、口を開いたのはヘネラリーフェの方だった。
小さな頃の自分が現在の自分より出逢い甲斐があるとは到底思えない。父親以外の世界を知らない、世間知らずなだけのガキだったのだ。
人を疑うことも知らず、所詮貴族という特権階級故の誇り高さと偽善的とも思える優しさと……同じ年齢だった頃のロイエンタールのことを思えば、なんともお目出度い子供だ。
「誰も知らない、そう、ダグラスでさえ知らないお前に逢いたかった。俺だけのお前が欲しかった」
死者と張り合ってもどうにもならないことは重々わかっている。それでもこの世でただひとり、全身全霊で愛したヘネラリーフェの全てを自分のものにしたいという想いを押さえることは出来なくて。
「莫迦ね〜〜 過去に戻って４歳の私に逢うならともかく、見かけは子供でも所詮私は私なのよ」
そもそも、ダグラスの知らないのは何も１０歳以前だけではない。捕虜になってからこっちのヘネラリーフェのことはロイエンタールだけしか知らないではないか。
「１０歳からの１０数年間のことはダグだけじゃなく、義両親も、アッテンボロー先輩もシェーンコップ中将も、いいえ、ヤン提督も含めた十三艦隊の面々はみんな知っているわ。それに比べて、捕虜として帝国で暮らした時間は貴方しか知らないのよ」
それでは足りないのだろうか？ ヘネラリーフェの言葉にロイエンタールは僅かに苦笑して見せた。
「確かに捕虜になってからのお前は俺の独占状態だったがな」
だがしかし、それはヘネラリーフェが望んだ状態ではなく、なかなか心の中を素直に晒け出してはもらえなかったし、ロイエンタール自身も本心に気付くのにかなりの時間を必要とした。
最終的に相思相愛になれはしたが、それでもロイエンタールの中の罪悪感がなくなることはないだろう。
「それに、いくら俺しか知らないとは言え、あの時のお前の根底には既にダグラスの存在が深く根付いていた」
だからこそ、ダグラスの存在など知らない子供時代のヘネラリーフェを欲したのだ。
「貴方は４歳の頃の私を愛したりはしないわ」
突然ヘネラリーフェはそんなことを言った。
「そんなことはない」
何を根拠に？ と問われてしまえば、確固たる根拠なく言った言葉なのだと思い知らされるだろう。だが、そう思えて仕方ないのだ。が……
「いいえ、愛さない」
ヘネラリーフェはキッパリと言い切った。
「何故そう思う？」
ヘネラリーフェは微かに笑うと、逆にロイエンタールに問い掛けた。
「じゃあ、貴方は私のどこが好きになったの？」
一瞬言葉に詰まったが、ロイエンタールはポツリポツリと言葉を選びながら紡いだ。
「意地悪で素直じゃない所かな。その気の強さにも参っている。だが、何よりも誰よりも優しい人間なのだと俺は知っている」
ヘネラリーフェはクスクスと笑いだした。意地悪で素直じゃない所が好きとは、喜んで良いのか悪いのか……
「４歳の頃の私は、優しくなんてなかったわ」
あの頃の自分は、侯爵家の娘という地位を疑いもせず受け入れ、他人に高飛車な温情をかけていたにすぎない、自分本位な甘ちゃんの子供に過ぎなかった。
「それでも、傷付いた人間の傷口を更に広げるようなことはしなかっただろう？」
どうやら、ロイエンタールはどうあっても、いつの時代のヘネラリーフェでも、彼女は優しく、そしてそんな彼女を愛すると言いたいらしい。
いや、もしかすると、子供になってしまったヘネラリーフェを大人の彼女に対する以上に慈しむように愛するのは、不幸だった自分自身の幼い頃の代わりなのかもしれない。
自分には向けられなかった両親の愛情や温もりをヘネラリーフェに向けることで、彼は自分の子供時代を塗り替えているのかもしれない。
ヘネラリーフェはなんとなくそんなことを考えた。
もし、今ロイエンタールがヘネラリーフェに与える愛情のほんの一欠片でも、彼の両親が彼に与えてくれていたら……
（でも、それはこれから私が与えてあげられるものでもあるわよね）
ヘネラリーフェは起き上がりベッドの上にちょこんと座り込むと、どうしたんだ？ とでも言いたげに横たわったまま彼女を見上げるロイエンタールの頭をそっと抱き寄せた。
「おい？」
まるで親が子供に甘えているような構図である。ロイエンタールは瞬間狼狽えた。
そんな彼を抱き締める腕に少しだけ力を込めながらヘネラリーフェは囁いた。
「子供時代の私があってこその現在の私なのよ。だから、今の私が貴方のものである限り、あの頃の私も貴方だけのものだわ」
トクントクンと、規則正しい鼓動がロイエンタールの耳に流れ込み、彼を心地良さと安堵感が包み込む。
「お前の腕の中は気持ち良いな」
「じゃあ、ずっとこうしていてあげる」
二人は抱き合ったまま夢魔の優しい腕に抱かれるかのように、夢の中に堕ちていったのだった。
さて翌朝……
この日もロイエンタールは同盟側との打ち合わせの為に出掛けなくてはならなかった。
またも作者自身が忘れかけていたが、ロイエンタールはあくまでも出張でハイネセンに来ている。だから、のんびりしていられる時間も限られているということで、毎日ヘネラリーフェとイチャついていられるわけではなかったりするのだ。
出掛けようとするロイエンタールを、ヘネラリーフェは何かを思い付いたかのように居間に引っ張り込んだ。
テーブルの脇まで連れてくると、疑問顔のロイエンタールを後目に椅子に乗る。 なんとなくヘネラリーフェの意図が見えてきた。
だが、椅子に乗ってもロイエンタールの顔はヘネラリーフェの頭上にある。彼女の目はロイエンタールの肩の記章あたりが正面に見える所にあった。
「ちょっと屈んで」
ブルーのケープを引っ張りながら言うと、ロイエンタールは苦笑しながら言う通りに、ヘネラリーフェの視線に自分のそれを合わせるくらいまで腰を屈めた。
「行ってらっしゃい」
可憐な口唇の柔らかな感触と甘やかな吐息を頬に感じる。正に至福の刻だろう。
普段のロイエンタールを知る者が見たら卒倒しかねないほど優しい笑みを残して、ロイエンタールは出掛けていった。
見送りを終えたヘネラリーフェは、何やら考え込むような表情でソファに座り込んだ。と言っても所詮見てくれは４歳、今ひとつ緊張感に欠けるのはしょうがない。
「ロイエンタールがこの姿を望んだ事で私が子供になったということは、逆にロイエンタールが大人の私を望めば私は元に戻れるってことじゃないのかしら？」
ひとりになった部屋にヘネラリーフェのこんな独語が流れる。
もし今回のこの不思議な出来事が、本当にロイエンタールの願いから起きているのなら、彼が望みさえすればヘネラリーフェは元の彼女に戻れる筈だった。
だが、今のところその兆候はない。恐らくロイエンタールが望んでいないのだろう。
無論、このままずっと子供の姿でいて欲しいとは思っていない筈だ。では、なぜ元に戻れと願わないのか。
「欲しいものを手に入れていないからよね、やっぱり」
ロイエンタールの欲しいもの……あまりに漠然としているそれを、だがヘネラリーフェにはなんとなくわかるような気がした。
彼は己にだけしか与えられないものが欲しいのだ。そして、それを無意識に子供の姿のヘネラリーフェに求めている。
どうすれば、その心の隙間を埋めてあげることができるのだろう……ヘネラリーフェにある考えが浮かんだ。
「キスしてあげようか？」
帰宅したロイエンタールに向かってヘネラリーフェはいきなりこう言った。
突然の言葉に一瞬困惑顔をするロイエンタールにお構いなしに、ヘネラリーフェはソファに座り込んでロイエンタールを手招きした。
ロイエンタールは拒む理由もなく、仕方なくヘネラリーフェの隣に腰をおろす。
小さな両手でロイエンタールの頬を挟み込むと、ヘネラリーフェは口唇を寄せながら囁いた。
「気が付いたんだけど、４歳の時だと当然ながら私、ファーストキスもまだだったのよ」
せいぜい父親と交わすくらいだっただろう。それだって、頬や額に軽くといったものである。
「だから、ファーストキスを貴方にあげるわ」
ヘネラリーフェの柔らかな口唇がロイエンタールのそれにそっと触れた。軽い、鳥の羽根が掠めていくような軽いキス。
だが、それはロイエンタールにとってはどんな濃厚な口付けよりも甘く、そして極上なものだろう。
口唇が離れた。と、思ったその瞬間、ロイエンタールの中で激情の焔が燃え上がった。
咄嗟にヘネラリーフェの小さな躰を強引に抱き締めると、可憐な口唇に荒々しく口付けた。
心をセーブすることが出来ず、ヘネラリーフェの口唇を割って舌を差し入れると、彼女のそれを絡めとり強く吸う。
一瞬ヘネラリーフェの躰がビクリと震え、次の瞬間ロイエンタールの腕の中の躰から急速に力が抜けた。
ハッとして口唇を離す。腕の中のヘネラリーフェはグッタリと目を閉じていた。
「リーフェ？」
そっと揺り動かすと、ゆるゆると青緑色の瞳が開く。心なしか、目元に朱が入り微かに潤んでいる。
「済まない、つい……」
だが、ヘネラリーフェは何も言わない。いや、よく見ると熱があるかのように貌を赤らめていた。
ロイエンタールの腕に、激しく打ち付ける彼女の鼓動が伝わってくる。
「おい、大丈夫か？」
（まるでのぼせているようだ）
ロイエンタールはハッとしたような表情になった。
「そんな……キスくらい何度も……」
思わず呟きが漏れ出る。
何度もしている激しい口付け。だが、４歳児の躰ではそれは初めてのようなもので……小さな躰には、あまりに刺激が強すぎたのだろう。今のヘネラリーフェにはロイエンタールの激情を受け止めることが出来ないのだ。
（勝手な言いぐさだが、やはり俺は俺の激情を受け止めてくれるリーフェの方が……）
脳裏に一瞬だけそんな考えが掠めたが、咄嗟に打ち消そうと首を振る。
「起きられるか？」
そっとヘネラリーフェを抱き起こすと、彼女の口唇が微かに動いた。
「？」
口元に耳を近づけてみる。
「もう一度……」
小さな声でそう言ったのがわかった。
「しかし……」
先程の反応を思い出し、さしものロイエンタールも躊躇した。が、ヘネラリーフェの手がそんなロイエンタールの襟元を掴みグイッと引き寄せる。
「しょうがないな」
ロイエンタールはそう呟くと、そっと口唇を重ねた。先程のような激しいものではなく、かといって軽いという訳でもない。
彼女の華奢な腕がロイエンタールの首に回された。
ヘネラリーフェの口唇をペロリと舐めると、ゆっくりと舌を差し入れ、彼女の舌に舌で触れ、だがそれ以上深く進入することなく、彼は口唇を離した。
ヘネラリーフェがうっとりとしたような表情で「もう一度」と囁く。
言われるがままに、ロイエンタールは再び彼女に口付けを施す。離れると、鈴の音のような声で「もう一度」とねだられ、また重ねる。その繰り返し……
その夜、二人は幾度となく口唇を触れ合わせながら眠りに堕ちた。
「ロイエンタール……起きて、ロイエンタール」
アルトの旋律がロイエンタールの鼓膜を優しく刺激する。その声に違和感を感じたロイエンタールの眠っていた意識が急速に覚醒し、彼は目を開いた。
「！？」
目の前には裸身に白いシーツを巻き付けただけの華奢な肢体が……
「……戻ったのか……？」
「そうみたい」
ロイエンタールがクスクスと笑いだした。
（そうか、戻ってしまったのか）
夕べ、一瞬でも大人のヘネラリーフェの方が良いと思ったのがいけなかったか。
だが、確かにもう十分幸福を味わった。いや、これからも彼女が傍にいてくれれば十分幸福だろう。
「ロイエンタール？」
いきなり笑いだしたロイエンタールを「大丈夫なの？」という表情でヘネラリーフェが覗き込む。
そんな彼女の手首を掴んで強く引くと、華奢な躰は抗うことなくロイエンタールの胸に倒れ込んできた。身体に感じる温もりと重みが心地良い。
結局、折角起きたにもかかわらず、二人はそれから暫くベッドの中で過ごすことになった。無論恋人同士の甘〜〜〜〜い刻である。
数時間後、バスルームのロイエンタールに、彼のシャツを羽織ったヘネラリーフェが顔を覗かせながら声を掛けた。
「ロイエンタール、髪洗ってあげようか？」
この二週間、ずっとロイエンタールがヘネラリーフェの髪を洗っていたのだが、そのお返しのつもりなのだろうか？
ロイエンタールは数瞬逡巡したものの、無言で頷いた。
バスタブの淵に腰をおろしたヘネラリーフェが、ロイエンタールの頭を自らの膝の上に導く。
「目を閉じててね」
ダークブラウンの髪に絡みつくヘネラリーフェの細い指の感触が心地良い。
「気持ち良いな」
目を閉じたままロイエンタールが呟く。
「私もロイエンタールに洗ってもらうの、気持ち良かったわ」
「じゃあ、また洗ってやる」
「うん」
ところで……と、ヘネラリーフェが口調を変えて言った。
「私、着る服が無いんだけど」
元に戻ったものの、このホテルにあるのは子供服だけで、今のヘネラリーフェが着られるものがないのだ。
ビュコック家に戻ればあるが、そこに行くまでが困るのである。
「…………」
ロイエンタールは内心大きな溜息をついた。これは、つまり『オネダリ』というものなのだろうか……それはそれで嬉しいのだが。
なにせヘネラリーフェはロイエンタールに対してあまり物を強請るということをしないのだ。
「わかった……外商を呼ぼう」
「わぁ〜い、じゃあ私、『KANEKO ISAO』がイイ♪」
「それもブランド名か？」
ゲンナリとしたロイエンタールの問い掛けに、弾けたような明るい声が応えた。
「うん！！」
ヘネラリーフェは、どうやらすっかりオネダリ上手になったらしい。
ヘネラリーフェを小さくする……こういうネタって、結構同人屋さんが考えるネタだと思うのですが、蒼乃もご多分に漏れずやってしまいました（笑）
ただ、この作品を書き上げたのは、もう３年程前なんですよ。実は、当時は本にするつもりで（まだＨＰを開く前だったし）取っておいたのですが、なかなかその機会に恵まれないまま、３年の年月が経ってしまいました。
なんとか日の目を見せたいと思う気持ちと、最近更新も滞っていて申し訳ないと思う気持ちが合致したので、少し手直しした上で３年寝かした作品をネット上でお披露目することにした次第ございます。
さて、皆さんのご感想や如何に！？
３年前の作品なので、やはり今読むと「げげ」ってな所もあるし、今ならこんな言い回しにはしないと思う台詞とか文章とかが沢山あって、新鮮というか、自分で「ああ、３年の間に私の文章も随分と変わったんだなぁ」と、ちょっと感慨深かったです（笑）
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